もうひとつの山の桜‥   エドヒガンザクラ

江戸彼岸桜は良く名の知れた桜ですが、れっきとした野生種(原種)桜のひとつです。
植栽されたものも多く、花色も変化に富むのですが、山にあっては樹高高く野趣も強く、
山桜の咲くまでの早い時期、当地では里桜と競うように咲く桜です。

私の歩く里山の数本は、どれも少し近寄りがたい場所にあります。
沢筋に沿って近づく方が楽なのですが、この時期は足の踏み場のないほど咲く花に躊躇してしまいます。
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いつまで傍にいけるかな?‥ そんなことを思いながら急な斜面を下って今年も訪ねる桜です。


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谷の底で見上げる桜の樹高は20メートル近いです。 手の届く所にその花を見ることはかないません。

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周りは灌木や蔓でいっぱいで、ほとんど写真にはなりません。
それでも華やかさでも愛らしさでもなく‥ この花の持つ「気品」をレンズ越しに見る思いがします。

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この春の高温と乾燥、開花時にやって来た低温と強風は、里桜同様に花を傷めていました。
萼頭の部分が丸く膨らむのがエドヒガンの花の特徴です。 
しなやかな花柄が、のびやかな美しさをこの花にくわえているように思います。



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# by moraisan | 2018-04-18 01:36 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
里山の青いケシ‥   ヤマエンゴサク

はるか昔、山にとりつかれたように登っていた頃がありました。
ヒマラヤの高地に咲くという、青いケシを写真で知ったのはそんな頃でした。

まだ花や木々の名前も指折る程しか知らない時に、それは強い憧れの花となりました。

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ヤマエンゴサクは多くはないケシ科の花です。属が違うので、ケシの花とはずいぶん違って見えますが‥

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故郷にはエゾエンゴサクという素晴らしい青の近縁種がありました。
くらべてヤマエンゴサクの花色はずっとおとなしいものです。それでいて白色、桃色、紫色、青色と咲く場所や株ごとに多彩です。

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ひとつひとつ見ているうちにどんどん陽は傾いてしまいます。その中でこの日一番目にとまったブルー。


ヒマラヤの青いケシを訪ねる日は来ないでしょう。 どこかで植栽されているという花を見ることも‥
幸いなことに、ほんの少し歩くだけで、春にはこの里山の青いケシに逢うことを繰り返してきました。
そしてそのたびに、この花は憧れた青い花の記憶を短く呼び起こします。

私にとっての花は、傍らにあるものであり、私が歩いて訪ねることができるものです。
歩めなくなる日が来たなら‥ きっと記憶の中に たどり見るのだと思います。  この花もまた‥


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# by moraisan | 2018-04-11 19:01 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
ひそやかに咲くものたち‥  

続いた高い気温に耐えかねたように多くの桜が一斉に咲きました。 
そしてその直後の低温はわずかに雪さえ舞わせて、寒い一日を迎えました。
こんな年の桜はその花びらにのびやかさがなくて痛々しいものです。 
何本かの桜の下に立ちながら長居もできず、いつもの段丘斜面を落ち葉に足をとられながら登ります。

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遠目にもそれと気づく桜たちとちがい、こちらはいつも景色に隠れるように咲いています。


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私には花を待つ気持ちがあります。 ただ‥共に待つものがあったことを花は私に教えます。


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ちょうじざくら(丁字桜)の名はその花の姿から‥


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出逢った頃には腰を落としていたこの木が、今は見上げる高さになっています。


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不規則で混沌としているようで、そこには不思議とリズムさえあるのを感じます。


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うぐいすかぐら(鶯神楽)の名は鶯隠れからとも‥ ただ作る藪はあんがい疎ですが。



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# by moraisan | 2018-04-10 01:44 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
足早な春の日に‥    ハヤザキヒョウタンボク

初夏のような陽気を受けて、春が足早に駈けぬけていきます。
三日先と思っていた光景がすでに昨日のことになっている‥ そんな春です。

この花もタイムラプスの早回しよろしく咲いてしまって、コマ落ちのはげしいこの春です。

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目の前にこんなに確かにあるのに、写真に撮れば景色に消えてしまいます。

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ずっと気にしていたようなふりをして‥ 『ずっとここにいたよ』と 小さな木は笑います。



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# by moraisan | 2018-04-03 01:12 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
翡翠の細工‥    カラマツの花

遠目にもカラマツの梢の色が変わり始めました。
まだ葉の展開には間がありますから、その正体は花です。

次々と咲く春の花たちに比べれば、ひかえめで地味なその花ですが‥
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光の中に見るならば それらが上等な翡翠の細工であることがわかります。

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上向きにつくのが雌花、下向きに多くつくのが雄花です。



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# by moraisan | 2018-04-01 22:07 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
遡る春‥

狂い始めた気候に歯止めがきかない。 こんな中部の山間地でも、一昨日は夏日の気温。
年度末の忙しさに翻弄されている間に、河畔や中洲の柳など既にぼうと明るく霞み始めました。

もうそう何度も‥ いえ、この一度限りかもしれない春ですから
幸い少しは時を遡れる地の利をいかして、細い谷(ミソサザイの谷)に足を運びました。

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例年より二週間近く早いでしょうか‥ それでもこの谷に入れば気温は数度下がります。

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ヤマネコヤナギです。今年も春の嵐に多くの枝を折りながら、多くの花を温かい和毛の中にまだ守ります。

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いつもなら足をとられる雪も、この春は日陰にわずかに残るのを見るだけでした。

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ここに訪ねるヤナギは主に二本。今春は双幹のこちらの木の花つきが良いようでした。

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私が 声なき声を聴く瞬間かもしれません。

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梢は高く、その幹以外は触れることも間近に見ることもかないません。 その距離は年々ひらきます。


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谷の入口付近で‥
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# by moraisan | 2018-03-31 08:18 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(12)
山起こす花‥  ダンコウバイ           

花曇りの温かな日でした。
木々の芽が遠目にも膨らむのに誘われて、段丘斜面を登りました。
思ったほど春が急いでいないことに少し安堵しながら、落ち葉に足をとられながら進みます。

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この里山の最初の彩りは、決まってダンコウバイです。 ようやく花芽を開き始めたばかりです。

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まだ青みを残した花が浅い春を知らせています。 予報ではまだ雪も降るようですから‥



薄日に温まった斜面に寝転んで休んでいると、小さく蜂の羽音が聞こえてきます。
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なるほど、高いところに早い花が咲いています。 この花が山を起こす日がそこまで来ています。



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# by moraisan | 2018-03-18 22:52 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(6)
3月11日の花‥   セツブンソウ

あれから七年の時が過ぎました。
オリンッピクイヤーということもあったのか、関連する報道は少なかったように思います。
3月7日のNHKスペシャル『被爆の森』
あの日私は被災者ではなかった。 でもあの日、確かに加害者にはなったのだと思い知る。
今日大飯原発3号機臨界。 6基目の原発が稼働しようとしている。

3月11日、今年も同じ日にこの花を訪ねました。

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その年最初に出逢った花は、何も考えずにただ見つけた嬉しさの距離で撮ります。


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このか細くて小さな花が、どうしてさきがけて開くのか不思議に思ったこともあったけれど‥


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今この時だけが、この花たちが光を受けられる時なのだと 今はよくわかります。


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この花は光を追ったりはしない。 とぎれとぎれの木漏れ日を思い思いに待つという風だ。


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「昨日までは雪の中で咲いていたんですよ」 土地の「育てる会」の方が教えてくれました。


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初めて見たのも雪の中で咲いてたのを思い出す。 咲き揃うと一面雪が降りたように白いとも。


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水だけで立っているような茎はわずかな光に透けている。 良く見ればスプリングの仕掛けもある。


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この大きなシダ(ヤブソテツ?)が大きな葉で空を覆わないうちに咲くんだな‥


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僅かに覗く南の空に雲が広がりだした。 暗くなる前にポートレートを撮らせてもらう。


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間もなく斜面は暗くなって、ずいぶん遠くのスポットライト。 ‥この日最後の一枚となりました。



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# by moraisan | 2018-03-15 23:14 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
春拓く花‥

  四季というものがある‥ と意識したのは もうどれほど昔のことだろう。
  気温や天候の変化、移ろう景色の色や匂い、鳥獣たちや虫たちの営み‥ また時々の人の行事など
  不変のよう思われた歳時の時と共に移り変わるのを見続けてきたら‥ どうも四季も怪しい昨今です。

  それでも静寂に過ぎた冬を小さくこじ開けて、この花は春の水車を回しだす。

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この花はいったいどんな仕組みに体温を得て、周りの雪を融かすのだろうか‥

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ひとたび顔を出せば、それはワームかヘビのように身をよじり‥

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そして立ち上がる。 およそここまでの姿は、植物というより動物のようだ といつも思う。

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続々と立ち上がり雪解けの地面を席巻する様は、なんだか違う星にでも迷い込んだような気にさせる。

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ただその花が開くなら、その完全さにため息をつくほかはないのだけれど。

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一面にこの花が咲く時は短い。 でもこの花の創る世界がそこに拡がる。 無言のままに。
     (もうこの世界など彼らに返してしまったらいいのかもしれない)

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この日(3月4日)気温は早20℃を超えました。 花いのちを促す気温、おさまってくれるといいのですが‥

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日本ミツバチが頻繁にに花を訪ねます。 まだこぼす花粉も僅かなのを 一粒づつも拾うように集めます。

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残念ながら、ずいぶん野山に遊んで来たのに 『妖精』の類に出逢ったことがありません。
『そんなもん、おらんわい』 杖突くご老人の姿で この花が笑います。



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# by moraisan | 2018-03-06 19:05 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
大好きな花‥ あずまいちげ

  漢字で書けば東一華。 何ともさっぱりした名をつけたものだと思う。

  以前この花を記事にした時に、この花は春を約束するのだと書きました。
  これほど気候が変わってしまい、木々草花の咲き順が以前と変わってしまっても‥ この花は不変。
  もう強い霜は降りないし、積もるような雪は去りました。 そう私は この春も信じて少しも疑いません。

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  こんな高い山里にも初夏の陽気がやって来ましたから、この花でさえ振り乱す勢いで咲いたのだと思います。

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  私は花を人に例えたりはしません。 ただその花を見る時に思い浮かぶ顔があったりはします。

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  この花に重なるひとりの友の顔があります。 だから私にとってこの花は その友の笑顔と共に咲く花です。



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# by moraisan | 2017-04-19 04:09 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)