カテゴリ:山野草・樹木( 326 )
小さな高貴‥   チゴユリ

この花が姿を消し始めたのはいつからだろう。
絶えてしまったというよりは、少しずつ後退していくのを追いかけるように山奥へ‥ 
と言っても、一年に数十mというような単位で(年によってはそれさえもなく)歩く道が延びていった。

‥そんな思いがする花のひとつです。

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この場所にチゴユリを訪ねるようになったのは10年程前から‥ そして2年ぶりです。

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この花のよさを知りたいのなら、もう地面に這いつくばるしかないのですが‥


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落ち葉の敷きつめたゆるい斜面がそれを助けて 叶えてくれます。


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身を低く跪くなら、この花の持つ優美なフォルムに圧倒されます。 その葉も美しくそれは長く続きます。



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少し引いて見るなら、確かにあどけない稚児にもみえるのですが‥

その後に『百合』と付け加えた気持ちがわかるような気がします。



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by moraisan | 2018-05-07 21:55 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
藤咲く頃‥

この花の色を山肌に見つけると、夏の近いのを感じます。 
そう、明日からはもう立夏‥


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この岩壁に少しづつ大きくなった藤を楽しみにしています。


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同じ岩の西面にはずっと大きな藤も登るのだけれど‥


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この藤は一切人工物の手を借りずに、この垂壁を登っているのが頼もしい。


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朝日こそ遅いのだけれど、南向きの壁は暖かいのか少し先がけて花を咲かせます。


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細い谷を挟んで連なる斜面には、木々を登る藤たちががやはり夏を告げています。


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カラマツを一気に登る藤は、もう藤の木そのもののようだし‥


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木々を渡る藤は、新緑の林にあらたにその藤色を添えて見事です。



小さな谷筋に足を向ければ、まだ若い蕾の花房も多くあって‥
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季節に置いて行かれがちな私は 少し安堵するのです。




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by moraisan | 2018-05-06 22:42 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
水の苦手な水辺の花‥  ツルネコノメソウ

春から初夏、野辺には花が次々と咲いては惜しむ間もなく消えていきます。
誰の目にもとまり、その花姿を待たれるものもあるけれど、名も知られずに‥
その存在すら知られずに‥ 傍らで消えていく花が多いように思います。

この花もそんなひとつかもしれません。 

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ここは山里ですから、日陰の小さな谷地形ならどこにもこの花はあります。
そんな場所は水を自然に集めるので、そんな場所を好むネコノメソウの仲間が見られます。


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ただツルネコノメソウは、すぐに水をかぶるような水辺は避けているように見えます。
『水辺は好きなのだけれど濡れるのはちょっと‥』 そんな性格の花だと私は思います。


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花は小さなもので3㍉程度。 多くは三輪を並べるように見えますが、一輪から数輪程度まで。
その花の咲き順がまちまちで面白い。写真のものは最初が真ん中、次に左、最後が右の順で咲いています。
片側から順番に咲くものもあれば、蕾の花がありながら実を結ぶものが隣り合わせていたりと無秩序です。


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珍しく水を浴びている一株に遭いました。細い流れの落ち込みの肩あたり‥ 
不運なことに?そこに引っかかった木の枝がはげしく水を弾きかけていました。

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なんだかそれが迷惑そうに見えたのは‥ 私の思い過ごしでしょうか?



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by moraisan | 2018-05-03 14:59 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
きわまる春‥  ヒナスミレ

春という季節がいつから始まり、どこで終息していくのか‥
それがわかりにくい昨今の気象は置いておくにしても、南北に長い島国のこと
それぞれの土地に、それぞれの春があるのだろうな‥ と想像もし、そんな映像も目にします。

里山の地面にスミレの仲間たちが咲くようになると、春も極まった感が強くなるようになります。
仲間にはアオイスミレのように先駆けて早いものもあれば、これからゆっくり咲き始めるものもあります。

これは私の歩く森だけのことでしょう‥ この花は満ちた春の中にいることを実感させる花のひとつです。

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まだ地面には覆うような草はない中で、この花は小さくも目立ちます。


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傍らのオニゼンマイも まだこんな具合です。


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繊細で柔らかい印象のスミレです。 その土はしっとりしている‥ そんな場所を好むようです。


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この場所のヒナスミレは花弁の縁をよく巻きます。それを私はこの場所に咲く花の個性だと思っています。
 

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じっさいスミレの仲間は種類も、地域の変種も多くて困ります。
私が歩く数か所の森でさえ、そこに咲くスミレには同じ種類にも個性があるくらいです。
どこかに花を求めることは、今後ますますなくなっていくようで、他の地のスミレは知りえません。

このヒナスミレにしても、もしかしたら、どこかで違う名前がついているかもしれません。 
もう図鑑のようなものを開くこともあまりなく、所蔵の版ときたら古いものばかりですから‥

ご異論やご指摘がありましたら、コメント欄にお知らせくだされば幸いです。




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by moraisan | 2018-04-30 10:40 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
光を追う花‥   二輪草

春の花は次々に咲きかわり咲き重ね続きます。

この場のカタクリが終わる頃から、小さな沢の縁に二輪草が咲き始めます。

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大きく足を開けば跨げるほどの沢ですが、時折小さなイワナが跳ねたりします。

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この春最初の花を良く見たくて跨いで撮った一枚‥ 自分の影が落ちていますね^^;


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日射しの届くことのほとんどないこの場所だからか、この花はよく光を追います。


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手持ちの撮影で、アングルも一定ではありませんが‥ 一番左の花にご注目ください。
光を追っているのがお判りでしょうか? この間はわずか3分。 あんがい素早く動くことに感心します。


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真上から見下ろせば真っ白な花弁は、花裏にうっすら紅を刷いて愛らしい花です。


アイヌの人たちの言葉でプクサキナ‥ 
干したものを戻してつくるキナルル(獣肉との汁)は大変美味なものです。
北海道を離れてからもう長く口にしていませんが、この春は少し分けてもらおうかな‥


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by moraisan | 2018-04-29 20:54 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
窪の山桜‥

段丘の斜面林を小沢に沿って上ると、狭い山の窪に出ます。
かつては耕作もされていたようにも思われますが、今は来る人もほとんどありません。

その片隅に立つ、一本の山桜です。

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この地に住んですぐに知った木のひとつですから、来たる五月で丸28年のつき合いです。


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狭い谷は日当りも限られますが、今年も若い枝を一か所突き上げたので もうじき20mに届くでしょう。


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山桜と侮るなかれと言わんばかりの見事な花つきを この木は毎年見せてくれます。


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静謐も‥


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豊かさも‥


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可憐さまでも‥ 私はこの一木に見てとることができます。

全ての作出された桜も、めざして憧れたのは山桜の姿だったのでは‥ そんな思いさえしてきます。



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遠く北八ヶ岳の稜線に日が落ちるまでのわずかな時間‥


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その花は隠していた桜色をあらわにします。
 
それはすっかり陽の落ちるまで、陽にこたえるように続きます。



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by moraisan | 2018-04-29 11:40 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
終える花、始まりの時‥  カタクリ


木々たちなら一年を通じて同じ場所に見続けられますが、野草の花たちはなかなかそうもいきません。
それが早春の花ならば、夏草の頃には通いつめる場所でさえその痕跡を見失ってしまうことも多いです。

毎年同じ場所で、新生したかのように咲く花を見ると、この花の始まりと終わりはどこなのだろう‥
‥そんなことを思うことがあります。

この場所に咲くカタクリの蕾を今年最初に見つけたのは、3月30日のことでした。
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それから三週間後の4月22日‥
 

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カタクリたちは自らつくったその場の『頃』を静かに終えようとしているようでした。


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この場所のカタクリは花を咲かすものは数百株ほど
珍しく岩壁に咲く群落は、誰に気づかれるわけでもなく季節の一頁を飾ります。
この花のように実を結ぶものは、この場所では半分もありません。
その種は蟻が運んで持ち帰り、この花は移ろうのだと‥ その様子をいつか目にしたいのですが。



その葯嚢がほどけることなく実を結んでいるのに気づきます。 おそらく他花受粉なのでしょう‥
この花の雄蕊と雌蕊の長さのずいぶん違うのは、そんな理(ことわり)があってなのかもしれません。

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この花のように実を結ばぬものの方が多く見られます。
でもカタクリはその球根を毎年深くしながら、数十年を生きるといいます。
それは、同じ場所で 同じ株の咲かす花に また会えるということを意味します。


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この花の大きく反り返る花弁は、その蜜源への到達を易しくしてくれているようです。(テングチョウ)

花が終える時に、その種が準備されている。 多く見てきたはずなのに、今もぼんやり考えたりする。
花に始まったように思っていたことが、花が終(つい)の姿にも思えてきたりする‥ 

まあいいや、ただそんなことを考えているようなふりをして‥ もうしばらくこの花の傍にいよう。


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花の時期のカタクリを見るのは、この日が今年最後であろうかと思います。
この10日前、まだ花の美しい頃にこの場を訪ねています。
よろしければ、続けてご覧ください。


4月12日、盛花の頃‥
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by moraisan | 2018-04-27 06:46 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
鉄路沿いの桃‥

私のブログ記事は99%以上が暮らす町の森や林からのものです。
いくつかの小さな谷を交えてそれらは繋がっていたりしますが、場所によっては県道を歩いて通います。
その県道の横を単線の鉄道が走っていて、特に狭いこの場所は鉄路、県道、千曲川と余地がありません。
迫る岩塊は切り立っていて、鉄路のための落石防止のガード?があったり、ネットが張られていたり‥

そんな場所に自生する、野生化した桃の花が、例年よりだいぶ早く 花の盛りを迎えていました。

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奥に見える山の谷間に向かっています。鉄路、県道、右手のガードレール下はすぐに千曲川です。


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列車の窓にもこの花は映るはずですが、瞬時に消えるこの花に気づく人はいないでしょう。


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こうなってしまうと、ただこの脇を歩くものだけの果報かもしれません。


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カラスのような大きな鳥がその実を運んだのでしょうか? 人には創れぬ景色がここにもあります。


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行楽の季節を向かえて、こんな山里にも県外からの旅の人を見ることが増えました。


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旅は良いですね。 私も旅は大好きでした。

でも今は、この地で過ごした28年の日々こそが、もっとも良い旅であったと思っています。

それは少しづつではありますが、共に時間や季節を共有する相手が出来た‥ 今も続く旅です。


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季節が巡り、再びこの花を見あげることができています。

再会するためには、また一年‥ この地での長い旅をしなければなりません。



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この桃の咲く鉄路脇にそびえる大きな岩塊は、天狗岩。高さ100メートルの巨大なチャートです。

JRのポスターにも登場しましたから、どこかで目にされた方もおありかもしれません。
この岩壁を果敢に登る、これも巨大な藤を何度か記事にしましたから、見覚えのある方もいらっしゃるかも‥ ですが。
鉄道ファンの方には知られた撮影スポットのようですが、お目当ては列車らしく、この岩を見あげる人を私は見たことがありません。
目立つ岩壁も、なかなか難儀してたどり着く岩上までの道すがらも、動植物とも豊かな 誇るべき景観だとひそかに思っています。


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by moraisan | 2018-04-25 03:01 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
もうひとつの山の桜‥   エドヒガンザクラ

江戸彼岸桜は良く名の知れた桜ですが、れっきとした野生種(原種)桜のひとつです。
植栽されたものも多く、花色も変化に富むのですが、山にあっては樹高高く野趣も強く、
山桜の咲くまでの早い時期、当地では里桜と競うように咲く桜です。

私の歩く里山の数本は、どれも少し近寄りがたい場所にあります。
沢筋に沿って近づく方が楽なのですが、この時期は足の踏み場のないほど咲く花に躊躇してしまいます。
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いつまで傍にいけるかな?‥ そんなことを思いながら急な斜面を下って今年も訪ねる桜です。


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谷の底で見上げる桜の樹高は20メートル近いです。 手の届く所にその花を見ることはかないません。

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周りは灌木や蔓でいっぱいで、ほとんど写真にはなりません。
それでも華やかさでも愛らしさでもなく‥ この花の持つ「気品」をレンズ越しに見る思いがします。

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この春の高温と乾燥、開花時にやって来た低温と強風は、里桜同様に花を傷めていました。
萼頭の部分が丸く膨らむのがエドヒガンの花の特徴です。 
しなやかな花柄が、のびやかな美しさをこの花にくわえているように思います。



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by moraisan | 2018-04-18 01:36 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
里山の青いケシ‥   ヤマエンゴサク

はるか昔、山にとりつかれたように登っていた頃がありました。
ヒマラヤの高地に咲くという、青いケシを写真で知ったのはそんな頃でした。

まだ花や木々の名前も指折る程しか知らない時に、それは強い憧れの花となりました。

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ヤマエンゴサクは多くはないケシ科の花です。属が違うので、ケシの花とはずいぶん違って見えますが‥

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故郷にはエゾエンゴサクという素晴らしい青の近縁種がありました。
くらべてヤマエンゴサクの花色はずっとおとなしいものです。それでいて白色、桃色、紫色、青色と咲く場所や株ごとに多彩です。

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ひとつひとつ見ているうちにどんどん陽は傾いてしまいます。その中でこの日一番目にとまったブルー。


ヒマラヤの青いケシを訪ねる日は来ないでしょう。 どこかで植栽されているという花を見ることも‥
幸いなことに、ほんの少し歩くだけで、春にはこの里山の青いケシに逢うことを繰り返してきました。
そしてそのたびに、この花は憧れた青い花の記憶を短く呼び起こします。

私にとっての花は、傍らにあるものであり、私が歩いて訪ねることができるものです。
歩めなくなる日が来たなら‥ きっと記憶の中に たどり見るのだと思います。  この花もまた‥


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by moraisan | 2018-04-11 19:01 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)