アブラチャンと落とし角‥
 
 時は少し遡ります。 まだ桜の蕾も固い四月中旬。
 前出のカタクリを訪ねる谷は、アブラチャンを訪ねる谷でもあります。

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  小さな花を重ねて重ねて、暗さの勝つ谷もひとときの明るさに賑わいます。

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  ダンコウバイよりも湿地を好むこの木は、私の周囲ではその場所が限られます。

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  香気も弱く、僅かにリモネンを含むそれを、私はとても気に入っています。

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  名のように少し油脂を感じる花の細工は、よく似たダンコウバイの華やかさはありません。  

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  カタクリは谷の底、そこへは守るように横たわる、一本のこの木の下をくぐらねばなりません。

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  春によく見る風が手折った枯れ枝かと思いました。 落とし角‥彼もこの木の下をくぐったのでしょうか?

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  四尖の立派な落とし角。 あけ四歳以上の成雄であることがわかります。
  長さは50センチを超えていて、重さも500グラムほどあります。
  十分に研がれたそれは私が手にしても凶器たりえるほどの鋭さをもっています。
  特に驚いたのが上から2尖目、先が欠けたのを見事な両刃に研ぎ上げてありました。

  こことは違った里山でダンコウバイを訪ねていた夕暮れ時。
  ほんの十数メートル横の斜面を駆け下りてきた雄鹿がありました。 
  私の存在などてんで気にならない様子で縦横にギャロップを繰り返し、その蹄の音が谷に響き渡りました。

  なわばりも解けて、ようやくの春に歓喜しているように思いましたが‥ 
  ああ‥あれは重い角を落として身軽になった喜びもあったのかもしれません。


                          ※写真はクリックで拡大いたします。
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by moraisan | 2014-04-29 11:23 | いのち | Trackback | Comments(6)
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Commented by saheizi-inokori at 2014-04-29 11:46
みごとな角!
油ちゃん、以前教えてもらって忘れていました。
野山のものはおもしろいニックネーム?がついてますね。
Commented by namiheiii at 2014-04-29 11:57
深い谷、凄い角!勿論お持ち帰りになったでしょうね^^
Commented by moraisan at 2014-04-29 12:17
> saheizi さん、こんにちは。
名前の通り油分を含んだその木は、生木でもよく燃えるのだそうです。
秋の実の頃も好きなので、またその頃ご紹介できたらと思います。
Commented by moraisan at 2014-04-29 12:21
>なみへいさん、こんにちは。
はい、今は手元に置いています。
なかなか野生の鹿に逢わせてやれずにいる孫たちに見せたら、谷に返しに行きます。
Commented by 74mimii at 2014-04-29 14:07
よかった・・・
落とし角は里山がお家ですね。
Commented by moraisan at 2014-04-29 16:47
>mimi さん、ご無沙汰しております。 そちらは真夜中でしょうか。
周囲にはシカたちも多く、その声なら毎日のように聞きます。
残念ながら人との軋轢は強く、共に避けているような次第です。
鹿の落とし角は、かつては自然の恵みであったことでしょう。
近くの縄文遺跡からは、巧に加工された釣り針などの生活用品が多数出土されています。
私は僅かですが、山菜や茸、果実の類、渓魚も食するために得たりもします。 
客分でしかないので、状況には細心の注意をしますが。
私には落とし角の恵みを生かせるよな巧も暮らしも残念ながらありません。
孫たちにこの角の持ち主が、どんなに大きく美しいのか‥ 語り聞かせたら、必ず返しに行きましょう^^


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