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赤い花‥ クリンソウ

  茂来山の花をしばらく続けたい。 日本最大のサクラソウ、クリンソウから‥
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  登山道はしばらく細い流れに沿っている。 ただ一株のクリンソウ、かつてこの道沿いにはなかった花です。

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  新しい捨て間伐や記憶にない倒木‥もう随分時が過ぎたのだな。 その場に見知らぬ花は嬉しい出逢いでした。


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他のサクラソウとは違って、この花に華奢な感じはありません。

最初の出逢いの頃、その大振りな姿をどうにもうまく撮れなかったものです。

回数を重ねる度に好きになる花があるとしたら、クリンソウはそんな花です。


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     九輪草の名にたがわぬ花付の良さ。 丈大きな花は、捉える周りの空気もまた広いものです。


                        ※写真はクリックで拡大いたします。






  
  クリンソウは私の住む町の町花(旧八千穂村花)です。
  私はサクラソウに高山の丈低いもののイメージが強かったので、最初の出逢いの時は面食らったものです。
  花色も多くのサクラソウとは随分違っていて、桜花のイメージとは縁遠いものです。
  園地などに植栽される品種にはピンクや紫の花色もあるようですが、野生のものはほぼこの朱赤です。
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これはクリンソウに限ったことではありませんが、その場所が育むいのちというものが確かにあって、
この山にある木々も花も、さらに言えば魚や獣に至るまで実は少し他所とは違っています。

多くのいのちがこの山と一体となって生き、またそれらがひとつの山をつくっていることに他ならないでしょうし、
この山の性格のようなものをつくっている気がします。
茂来山の狭められた核心は急峻で、壌土に恵まれているわけではありません。
沢筋のわずかな場所を除けば、岩やゴロ石がほとんどと言っていいでしょう。
この山が作り出したろう豊かな麓は、ほとんど人間の土地?になってしまっているのは他所と同じです。

残った過酷とも思える狭い場所に、実に多くの種類の木々草花があります。
細い渓で世代を重ねてきた魚がいるし、人と変わらぬ大きさの獣たちがひっそりと姿を見せること少なく暮らします。
多くの花の咲く様をして、『競うように咲く』などと表現したりしますが、この山にはおよそ当てはまらない気がします。
先の記事で、「譲り合うように咲く」と書きましたが、これは花に限らずこの山全体に感じる雰囲気なのです。
  
この山には別の離れた場所にクリンソウの小さな群落もありますが、この場所にたった一株ながら生き生きと咲くクリンソウと出逢ったとき、‥おそらく学問的にはまったく異なる理由が述べられましょうが‥ 私はこの山の持つ性格に再び触れた思いがしました。

  茂来山の木、茂来山の花、茂来山の獣、茂来山の魚‥ 茂来山というコミュニティがここにはあります。
  
by moraisan | 2010-06-19 07:48 | 茂来山 | Trackback(1) | Comments(9)
Tracked from 地球温暖化と環境問題の真実 at 2010-06-23 15:28
タイトル : 地球温暖化と環境問題の真実
地球温暖化と環境問題の真実の情報です。... more
Commented by saheizi-inokori at 2010-06-19 10:25
おっしゃっていることとはちょっと違うのでしょうが、最近読んだ本で「親鸞にとって阿弥陀如来は山河の姿を取って現れたに違いない」という言葉を読んだのを想いました。
又水俣病事件で何よりも問われるのは不知火湾の自然、命をシステムが殺したことだ。
だから水俣病の被害者も加害者、チッソと変わらないのだ。
という緒方正人の言葉も。
Commented by odamaki719 at 2010-06-19 12:05
こんにちは✿
このクリンソウの朱赤がとても綺麗です。
大抵はピンク系だと思います。
この一輪のクリンソウの茎の太さはまさに山で咲く花です。
緑の中のクリンソウの色が一層映えています。
Commented by ironsky at 2010-06-19 22:46
クリンソウって、サクラソウなのですか。
知りませんでした。
花の形は似ているなと思っていましたが。
私が見たのは、ピンクほほとんどで、赤がちょっと・・・・黄色もありました。
Commented by moraisan at 2010-06-20 06:58
>saheizi さん、おはようございます。
神仏に人に似た姿を映してしまったことは、不幸なことであったかもしれませんね。
一時真剣に見つめようとしたかのように見えた環境問題も、気がつけば経済理論の中に没した感があります。

私は人の未来に楽観するものではありませんが、人だ滅ぼしつくせるものもまたないと思っています。
私たちが目をつぶっても作れる形は、円でも正方形でもなく球であるように、この☆はあるべき形を目指すと思います。
緒方正人の気づきと、投げかけた言葉は軽いものではありませんが。
水俣の海は今もゆっくりとあるべき姿を目指していると思います。
それが人の歴史が知りえる、いわゆる元の海であるかどうかはわかりませんが‥

人は自らの手で滅ぼした種の再生を試みたり、自ら持ち込んだものを外来種と言って駆逐しようとしたりもします。
一握りの土も作れないように、いのちを作り出すことも滅ぼすこともできないと思います。
かつてこの星が人類にその命運を託したことなどあったでしょうか?
エコと言うことばがあふれ、いろんな環境プログラムが発動されても、足元も見えないようでは歩けない気がします。
Commented by moraisan at 2010-06-20 07:14
>odamaki さん、おはようございます。
私が知るクリンソウは北海道とこの地のものですが、たまに白花を交える以外ピンク系はありません。
調べてみましたら、odamaki さんのおっしゃるとおりピンク系のものが各地に多いようですね。
サクラソウの仲間は交雑しやすく、各種の品種が人の手によって作られてきたようです。
クリンソウの植栽も少なくないようだし、今後様々な変種も登場するかもしれませんね。
Commented by moraisan at 2010-06-20 07:33
>ironsky さん、おはようございます。
黄色もあるのですか?! びっくりしました^^;
↑odamaki さんのご指摘もあり、様々な色のクリンソウがあることを知ったしだいです。
私にとっての花は身近なものがほとんど全てですし、それらに足を止められているうちに季節は移ろっていきます。
Commented by saheizi-inokori at 2010-06-20 21:04
同感です。
緒方も人間の作ったものがやがて壊れて消えていくことを喜びを持って語っていますね。
Commented by namiheiii at 2010-06-24 11:27
あまり人も通らぬ登山道の傍らに鳥に運ばれて来たのか偶然のように出現した一株のクリンソウ。生き物の自然の姿を見た気がしました。人はご都合主義で安易に環境を変えますが自然は健気に自らを適応させている。
Commented by moraisan at 2010-06-24 21:32
>なみへいさん、こんばんは。
お昼休みに なみへいさんからのコメントに気づき急いでサイトに飛んだのですが‥ でもお言葉嬉しいです。
もしこの場にご案内できたなら、お体も幾分晴れ晴れするかと思ったりします。
この山は私に力を与えてくれます‥いつも。 
それは雄大な景色であるよりは、小さな光景であることが多いのですが‥
次の記事は、なみへいさんに届けと念じながらの更新です。 元気よ届け!


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