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コナギ‥  

もう何年も作づけられていない小さな田んぼである。
高齢の人に代わって、子息が年に何度か草刈りに訪れていた。
それも年々大変になったのだろう、今年は草刈りを止めて田んぼに水を張った。
水を張られた田んぼは、そこに生える草を制限するから‥

狙い通りにか多くの草は姿を消して、そこに周囲に見られない光景が広がった。

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一面の浮草の間に、見慣れない花色があるのに気づいた。 すぐに名前が出てこない。

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コナギであった。 ミズアオイの別名がナギ、小さいからコナギ。
植物和名には手抜きが多い‥ ‥そんな気が時々する。


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同時に見るのは、そろそろ終わりの近いオモダカ(面高)くらいと、見事に単相化している。


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元々田んぼにあったのだろうが、水際に咲くその花に気づくことはなかった。

稲田では雑草の扱いをされただろうコナギだろうが、人の手を借りて 今が我が世のようである。



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# by moraisan | 2019-09-06 06:35 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
一見の林をいく‥ ノイバラ

今私が身近にするのは、千曲川の段丘斜面林です。
それはかつて毎日目の前にみていたそれと、2キロ強の距離を隔てて繋がっています。

ただ大きく違うのは、この斜面の上が耕作地であること。 
以前のように、その斜面が小さな森に、さらに奥の山へと続いていないことです。

急な斜面林は少し息を切らせばあっさり登りつめて、そこで途絶えてしまいます。
林自体の浅さということもあるのですが、何より私自身の理解のなさが、それを薄っぺらにしています。

かつてのようにけもの達の気配は濃くないですし、縦横に歩けた けもの道も今の自分にはありません。
どこにどんな樹が立ち、どんな花が咲いて、その傍らにどうしたらたどりつけるのか‥
これからこの林の地図を 私の内に描いていかなければなりません。

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斜面を斜めに上る車道から、覗き見たノイバラです。

この花の傍らに行く道を 私はまだ知りません。


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# by moraisan | 2019-06-10 23:13 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
堰(せぎ)脇に咲く‥  ユキノシタ

地籍で天神町と呼ばれるこの周辺は旧家が多い集落です。
県道に面した側を走る広い堰(せぎ)は、道の拡張でほとんど道下に隠れていますが、
家の裏手になる千曲川に面した側には、一跨ぎできる幅の堰(せぎ)が今も速い流れで残ります。
車通りのない堰脇の道は、町村合併前の旧八千穂村の小中学校への隠れ通学路となっていました。
そんなことに配慮したのでしょうか、道に面した側には金網のフェンスが続いています。


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 堰(せぎ)の片側は人家の石積みですから、草花の根を張る余地はほとんどありません。


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ただ人手の及ばぬ分、この地の本来の植生が残ったのかもしれません。


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まだ咲き始め、雪を連想する花数はありませんが
ふたつと同じ意匠のないこの花は、いつ見ても見飽きることがありません。



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# by moraisan | 2019-06-05 06:13 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(12)
また最初から‥ (‥森とはなれて) ハルジオン


足掛け28年‥ 昨秋。ずっと傍らに、そして目の前に見てきた森と離れました。
どこにどんな樹が立ち、またどこでどんな花が咲こうとしているのか‥
そんなことが、ようやく少しはわかるような気がした ‥そんな森でありました。
 
居室にありながら、そこから鳥けものたちの声を聴き、また彼らの内の少しは私を覚えたようでした。
地図上なら直線で2キロ程の隔たりですが、鳥たちのような翼も持たない身には深遠な距離となりました。

拙ブログは、その大半がその森にまつわるものでしたから、どうもその用を終えたようでした。
放置したまま一年が過ぎ、今住む場所にも春が訪れました。 

山間の町でありますから、以前の景色とどこが違う? と大方は思われるような変化に見えても、
私にとっては、まるで見知らぬ他人の庭を見るようでしたし、何より以前の森と過ごしたのと同じ時間は
もう再び持ち合わせないのだという思いでした。

それでも見知った咲く花に、聞きなれた鳥声に‥ 誘われるまま間近な斜面林に足を踏み入れだしました。
知らない場所、見知らぬ相手にカメラを向けるのは苦手です。 

幼なじみのような花が美しく咲く頃となりました。 
周りはまだ良く見えておりません。 ただその花だけを見つめて‥

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こちらが時間を止めるなら、花はとても動的なことに気づく‥



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過ぎた五月の花たちを少しだけ‥
# by moraisan | 2019-05-31 18:03 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
ヤマカシュウとヤマウコギ‥

この季節、森は緑にみどりを重ねて、その中を歩くには少し暗いくらいです。
喬木たちがわずかにこぼした木漏れ日さえ残さず拾い集める‥ そんな木々のせいかもしれません。


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ヤマカシュウは蔓性の木本です。 ここでは低木のツリバナを登っていました。

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一見草蔓のように見えますが、前年の蔓はゆっくり木化していくように見えます。

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木漏れ日を受けるには葉だけでは足りないのでしょうか? 花まで緑色です。(雌雄異株・雄花)


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ヤマウコギは低木です。 上よりは横や下に向かって伸びるような気がします。

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少し明るく撮っていますが、実際はずっと暗い場所です。 丸い花序は花火のようです。

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林床近く葉を突き上げて懸命に陽を受けるものがあることを‥ きっとお日様は知っていますね。



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# by moraisan | 2018-06-06 23:19 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
私の野ばら‥  (ノイバラ)

一週前に咲き始めたと思った花は、すでに盛期も過ぎようとしていました。

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陽の落ちるのも近い頃、ようやく訪ねた野ばらです。


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少し離れて見るなら、まだ十分に元気そうだけれど‥


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近づけば花の傷みの多いのに気づきます。 ただその香はこの頃が強く確かです。


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ここの野ばらは、少し紅を刷いた花をまじえるように咲かせます。


高温に転じた気候の変化は、年々この花の開花を早くして、短く追いやるようです。
隠し立ては何もないという風に咲く一重のバラは、多く虫たちを集めては、次々に咲いて終えていきます。

歌曲『野ばら』の訳詩に見る姿は、少し開き直ったくらい潔いように感じますが‥   この花もまた。



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# by moraisan | 2018-06-04 21:39 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(4)
紅玉‥ うぐいすかぐら


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ただ数秒の間、縫うように差し込む光の中にも それに気づくことができるならば‥

この世界にちりばめられた宝玉の様々を 瞬く間だけでも見ることだろう。


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# by moraisan | 2018-06-04 12:22 | まばたきの記憶 | Trackback | Comments(2)
移り行く森‥  (クリンソウ)

通う森まで登る段丘斜面の終わり、ここからは森の入口辺り‥
ここでは初めて見るクリンソウに出逢いました。 ただ一株だけれど‥

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小沢沿いに行きつく窪は谷地気味で、蕗や蓬が生る中にそれは少し窮屈そうに見えました。


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近辺の高い場所のような強い朱の色ではなく、どこか褪めた淡い色で咲いていました。


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28年歩いてきた森で、消えたものも多いのだけれど‥ やはり新しい出逢いは嬉しいものです。


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いったいどんな風に、誰がこの花の種を運んだものか? 謎は深まるばかりです。

クリンソウを含むサクラソウの仲間は、他家受粉で種を結ぶと知られています。
この種の花は短花柱花(花柱が雄蕊より短いタイプ)と長花柱花(花柱が雄蕊より長いタイプ)があって、
違うタイプの組み合わせでのみ種ができるといいます。
写真の花は短花柱花、しかもただ一株ですから、はたして種を結ぶことができるのでしょうか?

いつの日か、この森の入口がクリンソウで彩られたら‥ いいだろうな。


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# by moraisan | 2018-06-02 21:00 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)
花と生きるもの達‥  (シロテンハナムグリ)

大きな羽音をたててやってきた甲虫は、何の遠慮もないというふうで、落ちるようにとまります。

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開いたばかりの花はまだ花びらもその蕊も十分に伸びてはいない。

そこに無遠慮に頭を突っ込んで‥ そうかお目当ては蜜線か! 花はまだ花粉さえこぼしていない。


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大きい‥ノイバラの花より大きいくらいだ。 ハナムグリのようだが?その名前が咄嗟に出てこない。


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ひとつの花を押しつぶして次の花へ。 そこにニホンミツバチがやって来るも‥


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とてもかなわないと思ったか、すぐに向きを変えて飛び去っていく。


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その前肢に一抱え、わっしと蕊をつかんでいる。 いったいどんな感触なのだろう‥

‥こっちは目を凝らすばかりだというのに。




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# by moraisan | 2018-05-30 04:52 | いのち | Trackback | Comments(2)
更紗満天星‥

更紗満天星‥ 『さらさどうだん』と読む。 なんと贅沢で美しい命名かと思う。
この地方では庭木として普通に植栽されていて、とりたてて珍しいものではありません。

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高地性のこの樹には、歩く森は少し標高が足りないのかもしれません。

歩く森にはただ二本、姿だけなら庭の多くに及ばなくても‥ 共に時を季節を、重ねた思いがする樹です。


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二本の距離はわずかですが、その花の趣きはやはり違っています。


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こちらがもう一本の方‥ 花つきはこちらが多いですが、周りの藪に全体は隠れています。


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甲乙などつけられませんが‥ 二枚目の写真の花との違いを 愛でていただけるでしょうか?


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# by moraisan | 2018-05-28 19:40 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(2)