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運ばれた花‥ トウゴクサバノオ
 
  私がこの山でこの花に最初に出逢ったのは 十年ほど前だったろうか。
  それまでどちらかと言えば静かなこの山に、大挙して人がやって来るようになっていた。
  車止めのゲートの付近には二三台の駐車スペースがあったのだが、いつしかバスまで乗り付けるまでに拡張。
  そんな駐車場と化した周辺に、この花は忽然と姿を現したのでした。
  手持ちの県下の植物図鑑にも、町の植物目録にもこの花の記載はなかった。 版も少々古いのだけれど‥
  
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  小さな丈低い花は、周囲が荒廃していく中で少しづつ増え続けたようです。

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  全体になよとした姿は、とてもこの山域になじみそうには思えなかったのだけれど‥

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  少しづつたくましく適応していくようでもありました。

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  蜜腺化した黄色い花弁がこの花をとても愛らしく見せるのですが、その花は小さく1センチに満たないものです。


  私はこの花が人によって運ばれてきたのではないかと思っています。
  関東あたりの低山ではどこにも普通にあったと記憶するこの花が、標高1000メートルのこの場所に
  忽然と姿を現したこと、そこが駐車場の周囲であること、そのやはり小さな種が容易に衣服にとまること‥

  何よりこの花が長い時間をかけてこの山にまでやって来た形跡が、周囲のどこにも見いだせないこと。

  誰もが容易に長い距離を移動できる今日、それが登山という行為のための往来を否定もできないのかもしれない。
  この花を受け入れるかどうかは、この山が決めればいいことだと思っている。

  昨年春、この花が沢づたいに意外な標高まで登っていることに驚きました。
  ただこの春、いささか乱暴な林道の拡張工事によってひとつの沢は埋められて、多くのこの花も絶えました。

  とても正視できない光景で、やがてはゲートを開いてさらに奥まで車で上がるようにする意図かと思います。

   この花の行く末はわからないけれど‥ ただ人は、人である私は受け入れてはもらえないだろうな、この山に。




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by moraisan | 2014-05-15 01:46 | 山野草・樹木 | Comments(3)
コチャルメルソウ‥
 
  暦は立夏、でも山里はまだ春のさなかです。
  春の野山に競うように咲く花は多いけれど、ひそやかに謳歌する花たちもまた多いものです。
  
  コチャルメルソウもそんな花のひとつです。

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  まずこの花に気づくのはその美しい葉の並びから‥ 暗い樹下や渓にあってもハッとさせられます。

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  その花は地味‥地味にしてユニーク。  どこにも近似を許さぬ様は 見飽きることがありません。

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        おまえさんはどこの星から来たんだい?  ついそんな軽口が口をついてしまいます。



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by moraisan | 2014-05-13 06:37 | 山野草・樹木 | Comments(4)
五月の桜‥  (山桜)

 
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  多くの桜が散り敷く五月、ようやく満開の時を迎える桜があります。 山桜です。

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  樹高は15メートル超えていて、その花密度には同時に葉のあることを忘れます。

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  樹の下に回り込めば、伸びやかな樹形の間にほのかな桜色が戻ってきます。

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  花期長く次々咲いてみせる山桜は、儚さよりは豊かさを感じさせる桜です。

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  愛でる人も惜しむ人もないまま咲く桜は、高みにあって触れることもできないけれど‥

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  落ちて色を増す花びらを手にとれば、そこには吉野にはない確かな香がある。



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by moraisan | 2014-05-07 23:29 | 山野草・樹木 | Comments(6)
花のくれた場所‥ ニリンソウ

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  谷の底 一跨ぎの山清水
  日の射すのは真昼の小一時間

  

  花がそこに咲いてなければ
  ここに腰を下ろしていたろうか?


  そんな場所をいくつも持っている。

  

  花を頭の中で消してみるなら
  なんて淋しい景色でもあろうか。

  
  
  ここもそんな場所だと思う。


  
  ここはこの花が私にくれた場所。  

  なんだと‥



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  ここの花たちは背が高い。 訪ねるニリンソウでは一番だ。

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  陽を求めて背伸びして‥

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                          ‥いつも谷風に揺れている。



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by moraisan | 2014-05-05 11:09 | 山野草・樹木 | Comments(4)