カテゴリ:山野草・樹木( 299 )
ガガイモの頃‥
 
  新年、久しく歩くことをしなかった野山に 孫たちに誘われるまま足を運んだ翌日。
  再び一人歩けば、その花を見ないまま過ごしてしまった蔓草が、今まさに種を風にあずけようとしていた。

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  この種子の持つ冠毛は、私の知る限り最も繊細なもののひとつですが‥

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  どうしてこれがなかなか頑固で、容易にその種子を風に放そうとしないのです。
  タンポポのそれのように、まるで無風に感じる宙に漂うような そんな器用な真似は出来ないのだから‥
  確実に遠く運んでくれる風を選びながら これはきっと待っているのかもしれない。

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  なかなか風の強い日だったのに、いつしかその風も弱まって夕暮れ時が近づいていた。
  私は何べん、いや何十ぺん この蔓草の生涯を見てきただろうかと‥ ふとそんな事を思った。
  特徴的なその葉を見つけるのは初夏の頃、盛夏の中で見る花の頃、秋草の中に一度は見失って‥
  冬の枯野の中で再び出逢う そうそれは旅立ちの今の頃。

  昨年霜月の終わり頃、大切な年長の友人が闘病の末に 旅立っていってしまった。
  秋の気配の頃からは、共に特別な時間の中にいたようで 私たちは別れの頃を生きたように思う。
  再び繰り返すことのない、ただ一度きりの時々の頃を、二十数年の長きをお付き合いいただいた。

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  夕刻の光が低く斜めに照らすころは、今は会えない人を繰り返し思い出す。
  私は天の国などきっと信じてはいない。 でもこんな光の中では、彼らでいっぱいいっぱいになるのだ。



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by moraisan | 2016-01-10 23:56 | 山野草・樹木 | Comments(10)
オオバジャノヒゲ‥

  樹下の日陰にこの花を見るなら、もう梅雨明けも遠くないと感じます。

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  小さく目立たぬ花だけれど‥

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  その趣きは どこか蘭の仲間を思わせます。


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            こんな飾り気のない花たちが 林を 森を 深くしている気がするのです。
                     


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by moraisan | 2015-07-21 03:53 | 山野草・樹木 | Comments(0)
夏花の頃‥  ウツボグサとキバナノヤマオダマキ

  つゆ雨が小休止した途端、猛烈な暑さがやって来ました。
  開花の時期を梅雨明けに定めているかのような、夏花たちの季節の到来です。

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林の梢が開けた下には、エノコログサのような一年草が勢いを増します。 ウツボグサもそんな場所を好む花です。

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       案外どこにも咲く花は目立つので、園芸品種だと思っている人も少なからずあるようです。

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  画家で植物写真家であった冨成忠夫氏が、著作の中で『夏の花の10傑のなかに入る‥』と書かれています。
  確かにその紫の色は美しく、氏の言わんとすることが分かったような気がしたのはずっと後のことでしたが‥
  余談になりますが、氏の写真に出逢わなければ、私はこれほど長く写真を撮り続けてこなかったと思います。


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                このキバナノヤマオダマキも日当りを好む花だと思います。

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  ですから、私が好んで歩く暗い林や森にはとても少ない花で、所番地で訪ねる花となっています^^

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  ヤマオダマキの変種とされていますが、私の住む八ヶ岳周辺では圧倒的にこのタイプが多いです。
  花色の穏やかさも好きですが、ちりめん細工のような花びらは いつ見ても新鮮に目に映ります。



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by moraisan | 2015-07-14 01:04 | 山野草・樹木 | Comments(6)
ヤマアジサイ‥

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  久しぶりに雨の上がった森を歩けば、いつもの場所にヤマアジサイの咲くのを見ます。

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  暗い森の中にあっても、この最もシンプルなアジサイは目立つことを嫌うかのようです。

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  それでもここでしかないという風にその場を占める確かさに、それこそが森の所以と感じます。

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  野生の花に完全なものを探すことは難しいけれど‥

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            木漏れ日がその花を照らしてみせるなら‥ それはいつも Perfect!




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by moraisan | 2015-07-12 23:09 | 山野草・樹木 | Comments(6)
七夕の日、一番花‥  ヤブカンゾウ

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  はなから星空など期待できない七夕の朝。 今年最初のヤブカンゾウが咲いた。

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  連日の雨の中で晴れ間を待つかに思えたのだが、その花はそぼ降る雨の中に咲いた。

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  その朝、川内原発に核燃料装填のニュースがいとも坦々とした口調で読まれた。  情念‥

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  およそ一番花を迎えるのにはふさわしくない感情を持て余すまま‥ この花を見ていた。

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  ここまでの勝手を繰り返し許してなを、求めればこの花も雨も優しさを返すというのに。

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  実を結ぶあてのない 宙を彷徨うかたわな雄蕊が、何だか自分の心のままであるように目に映る。
  もうどんな星も人の願いなど 聞かぬのではないのか‥

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   翌朝、同じ道にこの花の二番花を見る。 一日限りの花を七つ七日咲かせるうちに、夏空が戻るのを願った。




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by moraisan | 2015-07-10 05:35 | 山野草・樹木 | Comments(4)
異邦人‥  ヤマゴボウ

  今にも降りだしそうな夕刻。 空が見えないほどに樹冠がせめぐこの季節、森は暗く沈んでいます。
  
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  その仄暗い空間に異国由来の大きな株は、静かに鎮座しているようでありました。

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 その丈も1メートルは超えてありましょうか‥ 身の丈に近いものと向き合うことは、人とのそれと似ています。

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少しはは知ってるつもりの森にあっても、この姿は異形。 咲きながら立ち上がる花序は30センチほどにもなる。

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  その姿に歩み寄らされてしまうのは、その花の美しい葯(花粉嚢)の色にあるかもしれません。

  どういうわけなのか不思議なのは、いつも葯を残すのが花序の新しい花の一段ばかりであることです。
  それは誰かが急いで持ち帰ったというように、きれいさっぱり消えてしまっているのです。

ヤマゴボウについて‥
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by moraisan | 2015-06-26 22:44 | 山野草・樹木 | Comments(12)
カワラマツバ‥
 
  カワラマツバ(川原松葉)の名はありますが、実際には少し水辺からは離れた場所でよく見るます。
  目立たないけれど、良く見ればなかなか味わいがある‥ そんな花の代表のような花だと思います。

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  千曲川提上の未舗装路の所々に、こんな小群落をつくっています。

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  アカネ科らしい小さな花を、まるで泡のようにつけるのですが‥

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             近づいて見ればなかなか繊細で、その花数の多さに目を凝らしてしまいます。

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  この小さな花が目当てだとは思えないのですが‥  この日はアサマシジミが群れ飛んでいました。


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by moraisan | 2015-06-24 05:05 | 山野草・樹木 | Comments(8)
梅雨の晴れ間に‥  (ヤマホタルブクロとヤマタツナミソウ)

  梅雨らしい雨が続いて、窓から外を眺めている時間が多い休日。
  朝のうちだけ少し雨が止んだので、つかの間の散歩にでかけました。

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  この花が咲き始めれば、もう蛍が飛び始めているのだろう。

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  ヤマホタルブクロ‥ 土地柄でしょう、、名前にヤマの付くものが多いです。 ガクの形でそれとわかります。

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  立ち上がろうとしたところに、ボタンヅルが絡んで邪魔したのでしょう。 面白いリズムが生まれていました。

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  少しだけ段丘斜面を登ります。 細い踏み分け路の傍らにヤマタツナミソウがひっそりと。

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  この花は殆ど日陰にしか咲きません。 また他のタツナミソウと違い花を立ち上げない分、静かに感じます。

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 30分ほど待っていると、道先の日差しが廻ってきました。 僅か2分、この日最初で最後のこの花への日照です。



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by moraisan | 2015-06-21 12:44 | 山野草・樹木 | Comments(10)
蔓(かずら)の木と金銀花‥    (サワグルミとスイカズラ)

  千曲川の堤内地、さして広くない河原は年に何度か大水に冠水して洗われます。
  これまでに何本もの木が倒され流されるのを見てきましたが、しぶとく根付く木もあります。

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  一本の木があるだけで、河畔の風景は一変します。 その木を頼みにする蔓たちが、その幹を登るからです。

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        フジ、アケビ、アオツヅラフジ、ボダンヅル‥  そして今、花時を迎えたスイカズラなどです。

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 この花が咲くようになると、特に夜気が匂って気づきます。 風が運ぶ花の香では最上等のひとつかと思います。

 
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  始め白く始まる花は‥

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  やがて黄色く変わってその香を強めます。 別名「金銀花」はこの花を良く表しています。

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 多すぎる程の蔓(かずら)を纏っているのはサワグルミ。 何度もの大水に耐えて、今年も青い実をつけました。


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by moraisan | 2015-06-15 12:47 | 山野草・樹木 | Comments(10)
競りきそう草たち‥

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  もう何年も放置された休耕田に、不思議な光景が出現しました。

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  湿原の谷地坊主にも似ていますが、それを作っているのはセリやミゾソバの群落です。

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   このセリの一群落は一尋(ひろ)ほどもありましょうか‥  芹は好物ですが、これは全て天然物です。

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  芹の語源は「競り」 からと言われています。 ミゾソバやオオミゾソバと競っているのがわかります。

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  この芹のみずみずしさはどうでしょう‥  摘まずとも食さずとも、まず私の目が満たされているのでした。


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by moraisan | 2015-06-13 06:08 | 山野草・樹木 | Comments(4)