カテゴリ:山野草・樹木( 299 )
物語る花を求めて‥  堅香子

  同じ町にありながら‥合併前は隣町でした‥ この場所のカタクリを知るのは少し後になりました。
  保護地と聞いて気持ちがなえたこともありますが、それでも8年ほどの付き合いとはなりました。

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  この倒木の間に顔を出した花の開くのを見たくて、珍しく離れたこの場所に二日続けて訪ねました。

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  ここはロープを張った保護地の手前で花も散在していますが、私にはずっとお気に入りの場所であったりします。

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  急な斜面には朴の木が多く、その落ち葉をもたげて咲く花が目立ちます。

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  ここからは保護地です。 少し変わった開花の様子の花に目が留まりました。

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  ふつうはこのように花びらをほどくのですが‥ 花は一株に、また一輪に それぞれに見るべきものがあります。

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  この花が開ききるまで とどまるのなら‥ 何か聞けそうな気がするのですが。

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  この保護地(嫌な言葉です)とその周辺にはおそらく何十万株のカタクリがあります。
  ただ今は十数年とも二十年とも言われる総替わりの過渡期なのでしょう‥ 花は年々減っています。
  開花まで7、8年もかかるのに、この花の寿命は4、50年もあるのだと言います。
  ですから数年後から十年後には林床を花で埋めるのかもしれません。 私には今も多すぎるほどの花たちですが。

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  古名の堅香子は『傾いた篭』からと‥ か・た・か・ご この名の響きのほうが私は好きです。
  篭に開いたら閉じることのない花ですが、条件がなければ途中で止めて、開花を何日でも待つ花でもあります。

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  こうして見上げれば、何か語り掛けてきそうだと‥ ただそれを聴く耳が今も私にはないのだ。

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  気に食わないロープの内になど踏み入らなくても、十分すぎる花たちに日はあっという間に傾いていきます。
  明日からは気温が下がるのを知っているのかな? この花は来た時と同じまま日が落ちる。



   この花に最初に出逢ったのはいつだったろうか‥ 
  昭和49年初版本の野草ハンドブック・1 春の花 (山と渓谷社)が今も手元にあります。
  もう背表紙も失われて殆どバラバラの頁には何か所もテープでとめた跡が残っています。
  その表紙を飾っていたのがカタクリ‥ 冨成忠夫氏の一枚の写真(著作も)がこの花との最初の出逢いです。
  この一枚の写真と出逢った瞬間から、私の世界に本当の意味で花が咲いたのだと 今も思っています。



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とっておきの?おまけ‥
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by moraisan | 2016-04-14 00:30 | 山野草・樹木 | Comments(14)
田打ち桜‥ コブシ

  春の里山の明らかな春を告げるのは、コブシの花の真っ白です。
  山のあちらこちらに雪と見まがう白さで咲く大ぶりな花が、眺める山に戻る最初の色となります。

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  町内を走るローカル線の駅で3つ目、少し遠いこの場所のコブシに会うのは二年ぶりです。

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  遠く霞む八ヶ岳の雪はやはり随分たよりない。 川の水もおとなしくて、水不足が気がかりな春です。 

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  花では区別の難しいタムシバとは、花下の一枚の小葉で見分けます。 もっともこの地ではコブシだけですが。

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  香水の原料にもなるという花は良く香ります。 もし許されて小枝を手折るなら、さらにこの木を知るでしょう。

  この地にも25年。 当時お世話になった古老たちは、春になれば口々にこの花に作を占ったものです。
  花の多寡はもちろんのこと、やれ今年は(花が)上向きだ、横向きだ‥ そんな話を聞くのが楽しみでした。

  いつしかそんな会話も絶えて、私もこの花を話題にしなくなったけれど‥
  待ち受ける農作業は楽ではなかっただろうに、あの日、若やいで見えた古老たちの目が 今はとても懐かしい。


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by moraisan | 2016-04-11 06:37 | 山野草・樹木 | Comments(6)
たくましき妖精たち‥ 

  私の歩く森は平坦なところがほとんどありません。
  斜面を春の乾いた落ち葉に足をとられながら歩くのは、なかなか難儀なものですが、
  落ち葉をもたげて春妖精たちが咲き始めると、まず足の置き場から探さねば歩けなくなります。

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  この時期は小さな沢底を歩きます。 もう斜面は歩くのがためらわれる花たちでいっぱいです。

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  アズマイチゲは春を約束する花です。 桜に遅れて大雪が降った年、この花は桜の後に咲きました。

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  美しい花、可憐な花、造形の妙に驚かされる花などなど‥ 多くの花にこころ惹かれて来ましたが、

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  気品というのを花に感じるのなら、私はまず筆頭にこの花を挙げてしまうかもしれません。

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  時を同じくしてキバナノアマナが林床を飾ります。

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  この小さな野生のチューリップは実にしなやかで柔らかく、触れることがためらわれるようです。

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  その同じ花が落ち葉を持ち上げ突き抜けて地上に出るさまには、時々ため息が出てしまいます。

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  最後にもうひとつ。 ヤマエンゴサクです。 より水辺を好むこの花は、この日も足元にありました。

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  淡い紫花が多いのですが、時折見せる鮮やかなブルーの花色は、故郷のエゾエンゴサクを思い出させます。

  さきがけたフクジュソウが種を結ぶ頃から、次々と咲き始める可憐なスプリングエフェメラルたち。
  この水の力だけで立ち上がって咲くような花たちは、見かけによらぬたくましい花たちであったりします。
  
  急な気温上昇にいつもより少し早く始まってしまいました。 ついていくのが大変そうな春の予感です。



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by moraisan | 2016-04-03 04:50 | 山野草・樹木 | Comments(12)
続・ハヤザキヒョウタンボク‥ 開花

  先日、この地味な小さな木の花を、何とかひとつの記事にしてみました。
  思いがけずこの花に何人もの方にコメントをいただきました。 ありがとうございました。
  拙い写真からはお伝えできることも少ないですが、開花した姿も見ていただきたいと思い掲載いたしました。

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  目立たぬからでしょうか? 花は短い時に揃えて咲きます。

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  上向きや水平につく蕾は色を失いながらやがて下向きに‥ 時の弧を描きながら開いていきます。

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  この木だけ先出のものと違います。 同じ森に私が三本知るうちで、一番背高い(1.5メートル程)一本です。

  どれも昨日の撮影ですが、この急な気温上昇では今日明日にも花の盛りを終えてしまう‥ そんな木です。



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by moraisan | 2016-04-02 12:27 | 山野草・樹木 | Comments(14)
一番花‥ ハヤザキヒョウタンボク

  ようやく里山が目覚め始めると、この小さな目立たぬ花が気になって来るのです。
  あまり広い地域にはないようで、この花の名前にたどりつくのに少し時間がかかったのを覚えています。

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  もう十年近い付き合いなのに、少しも大きくならないようで、背丈は今でも一メートルほどの低木です。

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  見つけられることを拒むように咲く花もその木も、場所で覚えてなければ見失いそうにひそかです。
  この日もその下に首だけ突っ込んで寝ころんで見たりするのですが、どうにも捉えどころがない風です。
  多分同じこの木と花に切ったシャッターは1000回は超えているはずですが、写ってくれないのはこの春もまた‥

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  ハヤザキの名のとおり、葉に先駆けて咲くのですが、冬芽を守るようにその葉は長く残っていたりします。

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  下向きの花を二輪並べて咲く盛りには、少しは存在感も増すのですが、花の時間はとても短いものです。

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  一時間半ほども待つともなく待っていたら、ようやく一輪が蕾をほどいてみせてくれました。

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  桃色の蕊の色も翌日には失われます。 写せない花ほど立ち去りがたく、ただ傍にいて時が過ぎていくのです。




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by moraisan | 2016-03-29 23:00 | 山野草・樹木 | Comments(12)
金を播く花‥ ダンコウバイ
 
  金色と言うのがそもそもあまり好きではなかったりします。
  ただ例外があって、この花を讃えるならば 「金色」 としか言いようがない気がしてきます。

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  伸びた陽が夕刻山の端に残るようになりました。  はやる気持ちを抑えながら登る斜面に息が切れます。

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  毎年同じ場所で同じ木で‥  でも 毎年違うこの花と再会します。

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 まったくそのひと枝ひと枝を見るならば どんな優れた茶花もかなわぬといった風に活けられているのを感じます。

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            そして沈みゆく夕日の中で 「金色とはお日様の色なんだよ」 と私に教えます。
 


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by moraisan | 2016-03-23 04:17 | 山野草・樹木 | Comments(8)
木々始まる‥ ツノハシバミ

  私の通う小さな森にも 春が少しづつ近づくのを感じる頃となりました。

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  まだ冬枯れ然としている中に褐色の花‥ それはなんとも地味に春を告げます。

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  同じ日ですが、こちらは開花前。 この姿のうちは背景に溶け込んでしまい、気づかずに横を過ぎたりします。

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  房状に垂れているのが雄花、数個集まって赤い柱頭だけをのぞかせているのが雌花です。

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  この雌花の持つ小さな赤が ‥それはわずか2~3ミリ程ですが‥ 私はとても好きで、待たれます。

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        曇り空の向こうから柔らかい夕方の光が届くなら、この花も春らしい色に染まって魅せてくれます。

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  春の森に華やかさを播くダンコウバイの蕾も すぐ傍でだいぶ膨らんでいました。

  昨日はこんな春姿を見せてくれた森も、今日は一日降り続いた雪ですっかり白一色になりました。  
  ただ木々の枝に積んだ雪に、もう冬の日のような角がないことを、ツノハシバミは知っていたのかもしれません。



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by moraisan | 2016-03-14 23:14 | 山野草・樹木 | Comments(11)
氷結の朝‥ ヒメオドリコソウ

  昨日雨から変わった雪は、今朝の景色を再びの冬の姿に戻しました。

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         そこで咲くこと。 咲いた場所で全てを受け入れること。 私には到底なしえなかったこと。

               こんな小さな野の花が、なんの恐れもないという風に それをしている。



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by moraisan | 2016-03-10 21:02 | 山野草・樹木 | Comments(8)
 春・試練‥

  雪解けを早めた雨と春陽気は、彼らに水を上げさせてすっかり起こしてしまったらしい。
  そして一日を挟んで戻って来た真冬の寒さは、容赦のない春の試練をあたえたようでした。

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  じっとロゼットで耐えていたこのセイヨウタンポポなど、凄まじい変容をとげていました。

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  枯れあがった多くの茎葉と飛ばすことの叶わぬことになった種子‥ それでその陰に守るべきものは守ったか。

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  路脇のオオイヌノフグリの色も、この頃の空に倣って 少し赤みがとれてきたようでした。

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   さらに屈んで覗き見れば この花もまたその花びらに 春を待つ試練を確かに刻んではいるのだけれど。



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by moraisan | 2016-02-20 01:59 | 山野草・樹木 | Comments(2)
 急春‥   フクジュソウ

  いつの頃からか、この場所でフクジュソウと出逢うことが 春の初めの儀式のようになりました。
  前日の温かい雨はこの日の昼まで続いて、里山のわずかな雪をすっかり消してしまいました。

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  急な雪解けに露わになった斜面には、一見花の姿はないように見えました。

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  それでも目を凝らして見れば、いきなり起こされた蕾がそこかしこに‥

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  みぞれた雪の中で、まだ出たくはない様子のものもありました。

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  読めない春の気配にこの場所に立つのも今春三度目ですが、ようやく開き始めの花にも会えました。

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  いつもなら雪に抱かれるように咲き始めるこの花が、露わであるのがかえって寒そうでもありました。

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  雪解けの進んだ斜面の上方には、それなりの花数もあるようでした。
  ただ急な斜面は足の置き場がないことを知っているので、近づけないのは例年のとおりです。

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 急かされて咲く春でも 時折雨を落とす雲間から日が差せば、 躊躇いなく花びらを開く様はいつものとおりでした。




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by moraisan | 2016-02-15 01:07 | 山野草・樹木 | Comments(6)