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カワアイサ
  
  枯れ葦の縁取る川面を滑るように‥ 今年も帰って来ていた。
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  カワアイサの思い出は苦いものである。

  当時中学二年の冬、弱った水鳥らしい大きな鳥が友人から届けられた。
  初めて見るその鳥は随分弱っていて、ダンボールの中で汚れた体からはひどい臭いがしていた。

  名前も知らないその鳥を部屋に入れるのに、私がまずしたことは‥
  あろうことか、その体を洗うことだった。 ご丁寧に石鹸までつかって。
  
  見違えるほど美しくなったその鳥は、翌朝には冷たくなってしまった。

  私の無知は、水鳥の羽から体温を奪ったのだったし、餌の見当さえつけられなかった。

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  せめてこの美しい鳥の名前が知りたいと思った。
  知るほどに悔いるばかりであったけれど、この鳥との出会いが、未知であった鳥たちの世界への入り口となった。



                        ※写真はクリックで拡大いたします。  
  
by moraisan | 2009-01-20 00:22 | いのち | Trackback | Comments(6)
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-20 06:56
ピンク色の鴨だそうですね。みたいな。
洗ってしまう、私もやりそうです。
Commented by ironsky at 2009-01-20 22:19
綺麗な水鳥ですね。
私も出会ってみたいものです。

ほろ苦い思いで、読ませていただきました。
Commented by moraisan at 2009-01-21 17:37
>saheizi-inokori さん、こんばんは。
くちばしと足がピンク色で目立ちます。 
生まれてはじめて手に抱いた鴨‥ 今でもまざまざと目に浮かびます。
Commented by moraisan at 2009-01-21 17:47
>ironsky さん、こんばんは。
だいぶ衰弱していて、箱の中で汚物にまみれてやってきました。
魚食のせいか臭気も強かったのですが‥ 苦い思い出です^^:

数羽が近くの千曲川に下りています。 手賀沼にも羽を休めていそうな気がします。

Commented by 74MIMI at 2009-01-22 08:38
こんにちは。
カワアイサのメスは見たことがありますが、オスは見たことがありません。美しい姿に感動しています。

お友達から送られたアイサさんは、多分専門家でも救えなかってのではないでしょうか。うちから20分くらいのところに「海の動物や鳥を救うセンター」があります。タンカーから漏れたオイルで汚れた水鳥を手当てするところをTVで観たことがありますが、ぬるま湯に特別のシャンプーを入れて鳥を洗っていました。羽を乾かすのに特別のドライヤーがあるようです。なれた専門家でも救えないことがあるようです。
でも、お友達は何故アイサさんを送ってくださったのでしょうね。
Commented by moraisan at 2009-01-22 22:02
>mimi さん、暖かな大寒です。
こちらでは常にペアで見ることが多いのです。

当時も動物好きだったせいで、いろいろ持ち込まれることはありました。
この鳥が教えてくれたのは、野生の鳥をほとんど知らないという事実でした。
その後に鳥の世界にのめり込むのも、カメラを手にするようになったのも、その日につながっている気がします。


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