故郷の花‥ 蝦夷蒲公英

  いくつかの地を転々としながら今日に至るが、気が付けば25年‥ この地が最長の地となりそうだ。
  
  故郷というものを思う時、もちろん育った家や家族、恩師や友人たちの顔も懐かしく浮かぶのだが‥
 それ以上に思い出されるのは、遊んだ森や草原、故郷の山や川や海、その上に広がっていた空だったりする。

  十八で故郷を離れ、少しは本気で植物(樹木)や動物(野鳥)の事を学びたいと思った時には、
 すでに故郷はもとより、この国は私の原風景に繋がるものの多くを失っていたように思う。 彷徨が始まる。

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  幼い日、あんまり当たり前に周りにあって、無造作に摘み取っては遊びにつかったエゾタンポポである。
  当時はそんな和名も知らなかったし、今では主流になった西洋タンポポなど見たことはなかったかもしれない。

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  理科という単元が好きでした。 周りを取り囲む世界の理(ことわり)を紐解いて いつも私を驚かせてくれた。
  花弁が五枚の多くの合弁花からなる集合花であること‥  花を仔細に見ることは、きっとこの花に教わった。

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 今、数種のタンポポが周りにある中で、故郷の蒲公英はそう多くはありません。
 記憶にあるほどの草丈もなく遠慮がちですし、色も淡いものが多いのは、交雑がすすんでいるのかもしれません。

  それでもこのタンポポを私は知っている。 それは後年しみついた薄っぺらな知識などではなく‥ 
                         僅かに確かな 故郷の記憶として。




                         ※写真はクリックで拡大いたします。




  
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by moraisan | 2016-04-23 03:07 | 山野草・樹木 | Comments(8)
Commented by pallet-sorairo at 2016-04-23 09:46
♪ ゆぅぞら はぁれて あき かぜ ふきぃ…
と歌いながら
moraisanさんの原風景のたんぽぽを何度も見てしまいました。
今いる場所と違う故郷の空を持っている方が
ときどき羨ましくなるわたくしです。
Commented by namiheiii at 2016-04-23 10:26
都会に育った私はこんな質素なタンポポは見たこともない。いや見ても目に入らなかったのでしょう。moraisanさんは物語に出てくる異邦人のように思える。
Commented by moraisan at 2016-04-23 17:39
> pallet-sorairo さん、こんばんは。え
えぇ~、もう秋ですか~ (笑)
昨日の事も忘れがちなのに‥ 鮮明に覚えている景色があったりします。
海沿いの町の山沿い育ち。すぐには海は見えないのに、空にはカラスよりカモメの姿を多く見たりしました^^
Commented by moraisan at 2016-04-23 17:46
>なみへいさん。こんばんは。
北海道の小さな街から上京してみれば、そこは異国のようで、まっすぐ歩くのも容易ではありませんでした^^;
山河は持ってはこれないけれど、繋がっているだろう空の下‥ 旧知の花が遠い記憶に運んでくれます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-23 22:12
確かな人生を感じました。
理科苦手だったなあ。
Commented by moraisan at 2016-04-23 23:08
>saheizi さん、こんばんは。
おはずかしいです^^;
言葉は難しいですし、行間?なんのこっちゃ‥ なもので。
目の前に見えているものさえ読み解けなくて今日まで‥です。
Commented by sternenlied at 2016-04-25 16:22
タンポポにもいろんな種類があることをつい最近知ったところです。セイヨウタンポポは花びらがやや下向きですが、エゾタンポポは花びらが上向きに咲くのですね。エゾタンポポはなんか楚々とした原種のような趣で親しみを感じてしまいます。遠く故郷から離れた土地で、少なくても、幼い頃の思い出の中のタンポポに出会えるなんていいなあ。
Commented by moraisan at 2016-04-25 19:49
>mira さん、おかえりなさい。
バルト海の風はさぞかし心地よいのだろうな‥と想像してしまいます。
写真のものは、周りに仲間もなくしおらしく咲いていますが、故郷のそれなら丈高く、花も4~5センチにもなる、最大級の蒲公英です^^
その丈夫な長い茎と大きな花を、女の子たちは上手に編んで冠やら首飾りにしたてるのを、男子たるもの真似もできず、無理に少し乱暴にあつかって羨ましさをごまかすという‥ 私もそんな少年の一人でした^^;


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