田打ち桜‥ コブシ

  春の里山の明らかな春を告げるのは、コブシの花の真っ白です。
  山のあちらこちらに雪と見まがう白さで咲く大ぶりな花が、眺める山に戻る最初の色となります。

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  町内を走るローカル線の駅で3つ目、少し遠いこの場所のコブシに会うのは二年ぶりです。

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  遠く霞む八ヶ岳の雪はやはり随分たよりない。 川の水もおとなしくて、水不足が気がかりな春です。 

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  花では区別の難しいタムシバとは、花下の一枚の小葉で見分けます。 もっともこの地ではコブシだけですが。

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  香水の原料にもなるという花は良く香ります。 もし許されて小枝を手折るなら、さらにこの木を知るでしょう。

  この地にも25年。 当時お世話になった古老たちは、春になれば口々にこの花に作を占ったものです。
  花の多寡はもちろんのこと、やれ今年は(花が)上向きだ、横向きだ‥ そんな話を聞くのが楽しみでした。

  いつしかそんな会話も絶えて、私もこの花を話題にしなくなったけれど‥
  待ち受ける農作業は楽ではなかっただろうに、あの日、若やいで見えた古老たちの目が 今はとても懐かしい。


                        ※写真はクリックで拡大いたします。




  
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by moraisan | 2016-04-11 06:37 | 山野草・樹木 | Comments(6)
Commented by pallet-sorairo at 2016-04-11 10:00
まだ眠りからあまり覚めていないほかの木々の間に
ふわぁっと極細糸で編んだレース編みを広げたような満開のこぶしの花を見るのは
私にとっても早春の楽しみです。
わざわざ?電車に乗ってお出かけになる気持ちは私と一緒、嬉しいです♪
Commented by moraisan at 2016-04-11 12:27
> pallet-sorairo さん、こんにちは。
『極細糸で編んだレース編み』‥なるほど、巧みな表現に感心致しました。
町村合併で広がった町内には、4つのローカル駅があります。
電車ではなくディーゼルですが‥この日はカタクリを訪ねて、町内のこの駅より歩き始めました。
なじみのコブシは近くにも多いのですが、今回は歩き始めに出会う、こちらのコブシを紹介させていただきました^^
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-11 22:14
懐かしく、美しい物語です。
古老たちのことを想像して涙がでます。
Commented by moraisan at 2016-04-11 23:48
>saheizi さん、こんばんは。
古老たちの話は、木々草花、鳥やけものたち、虫や川の魚に及んではばひろく、それは楽しい物語りでした。
当時の若造が老境にさしかかった今、物語のない時代に生きている寂しさを感じています。
Commented by sternenlied at 2016-04-12 16:18
最初の写真を拡大して眺めていると、鳥たちの声がしてきました^^ 思わず情景の中に入り込んでしまいましたよ。1年間ほど京都の山の中の田舎に住んでたことがあるのですが、こんな風に川が通ってるところで、なつかしく思い出していました。そこも豆電車のようなローカル線しか通っていなくて、川に沿って走るんですよね。春になったら山々の雑木林の合間に霞むように咲いていた白い花々を電車の窓から目を細めながら味わっていましたよ。

以前には作を花の向きで占っていたなんて、風雅ですね。自然の姿で判断できる知恵を持っていた古老たちがいなくなるというのは寂し過ぎますね。
Commented by moraisan at 2016-04-13 06:28
>mira さん、こんにちは。
このローカル線は日本では最も高所を走る鉄道で、千曲川に沿って走ります。(写真の川は流れこむ支流のひとつですが)
この駅辺りまでがふだん歩きまわる限界で、この日はここから歩いて1時間ほどの山域までカタクリに逢いに。

春の山にこの木を見るたびに、思い出される顔や声があったりします。


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