鈴生る‥  二本の柿の木

  強い風が最後の葉を容赦なく運び去って、一日のうちに景色は冬に転じました。
  私でさえこんなに心細いのだから、この里山で冬を越すだろう鳥、けものたちはどんなにか‥
  
  およそ人の手が届かない背丈の二本の柿の木に、毎年一喜一憂するのが慣わしのようになりました。
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      山の木々と競るように伸びた柿の木。 人の手を離れて生る実は、もう山そのものの糧です。

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    食べものとはまず見るものであって、それからはただ食べるもの‥ つぶやいたのは賢治だったかな。

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  一見豆柿に映る実は、引き寄せてみるなら手のひらひとつはあって、人の手に為る木であることは確かです。
   熟れたものから順番に‥ 山のルールで最後の一つが消える頃は もう春の気配です。


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       もう一本はこの木です。 山際の畑のふちに立つこの木は、先の木とは少し事情が違います。

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            この木は毎年、人の手の届く枝ごと柿の実が採られて来ました。
            それでこんな姿になったのですが、いよいよ今年が最後かもしれません。
                             ‥撮影翌日、右側の下枝は姿を消していました。

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  余談ですが、この柿の木の背後には見事に染まるヤマモミジが一本あります。
  近辺の山にはヤマモミジは非常に稀です。 斜面一の赤色は、周囲の木々に風から守られて最後まで残ります。


                        ※写真はクリックで拡大いたします。
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by moraisan | 2009-11-17 21:12 | 山野草・樹木 | Comments(2)
Commented by 74mimii at 2009-11-24 14:07
美しいですねぇ!
沢山の実をつけてひっそり佇んでいる柿の木の実を
鳥さんたちは食べないのでしょうか・・・ 
Commented by moraisan at 2009-11-24 19:51
>mimi さん、全て鳥や獣(テンなど)によって食べられます。
この辺の標高では甘柿はできず、渋が抜けた頃より(もうじきです)柿の実は食べられていきます。
市街地の柿の木にあるような、一斉に鳥たちが群れるようなことは不思議とありません。
大事に大事に食べるという風に、少しずつ消えていきます。
そこには計り知れない約束さへあるような気がします。


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