逃遷の桃‥
  
  千曲川の堤外(河側)に、ぽつんと一本の桃の木があります。

  伸びやかに枝を張った姿に、桃と言う木の本来の姿を見るようで、毎年楽しみにしています。

  こんな場所にありますから、この木が人の手に植えられたものでないのは確かです。

  誰の手も借りず、毎年毎年見事な花を咲かせています。

  今は雪しろを得た千曲の川水が豊かな頃ですが‥

  年に何度かの大水のの時など、膨れた水が根元を洗いそうに迫るので、冷や冷やさせられる事もあります。

  見ているうちに日暮れ時が迫って来ました。 この花も後数日のことでしょう。 ‥それからは また一年です。


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この桃の木によせて‥
# by moraisan | 2012-05-13 11:02 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(6)
漂北の桜‥
  
  遅れに遅れた山里の桜は、四月末の夏陽気に三日で咲いて五日目には散り敷いてしまいました。
  例年訪ねる桜のいくつかの下に立つこともなく過ぎてしまい、私は珍しく桜のあとを追いかけることにしました。

  五月五日、桜はすでに故郷函館を過ぎ、道北の友人からエゾヤマザクラの開花の便り‥
  私の追いかける北は水平にではなく、垂直方向に‥ 標高1100m、茂来山中腹に咲く染井吉野でした。

  標高も1100mとなれば、山桜もそろそろ限界の高度にこの染井吉野はあります。
    
  桜花を愛でる人の常を認めつつも、私にとっての桜はまず木です。 大好きな木です。

  これほど見事に地衣を纏う木を私は他に知りません。 それは風雪を生き抜いた人の姿にも映ります。 
   
  邂逅から二十余年、その過ぎた時間を木の姿に見ることができる‥ そんな不思議な木でもあります。 

  もちろん花も美しいです。 花の大きさ形の揃いにおいて、染井吉野に勝る桜はないのではないでしょうか。

  少し陰の下枝にはまだ蕾のものさへ見つけられて、足早に過ぎようとする春に少し追いついた気分です。

  枝の一所に小さな宿木があることに初めて気づきました。 ああ、この木も壮年を過ぎたのだと ‥思いました。


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この染井吉野に寄せて‥
# by moraisan | 2012-05-09 22:34 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
山春始動‥ 壇香梅
  二日続きの陽気に、里山の春は急発進を始めました。

  一見の無秩序の中に見るのは 空に向かう確かなスパイラル。 

  色のない林に生まれたこの春一番の彩色のリズム。  今年もまた逢えた壇香梅。

             わずかな残照を花が掴む つかの間を楽しんだ。

  落日と同時に林に冷気が滑り込んできた。  まだ春は始まったばかりなのだ‥ そのことが嬉しい。

  夜の帳がゆっくりと下り始めた。 足元が見えるうちに‥ 家路は少し急ぎ足。
  



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# by moraisan | 2012-04-15 04:42 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(8)
春、群咲く‥  (福寿草)
  時折激しい降雪にみまわれた日曜日でした。 確かな春の気配を見たくて山路をいそぎました。

        向かい山の八ヶ岳は降りしきる雪の中‥ でもここには時々覗く青空もありました。

            例年なら雪の中に見る花を、今年は雪融け後の混沌の中に見ました。

        他の草花のまだ眠るほんのつかの間、この北向き斜面が万の花に埋め尽くされます。

       人除けの網越しにしか今は見ることが叶わないのだけれど‥ 今年もまた 来てしまったな。

    曇りの空に半開の花たちは春の香を嗅ぐように伸びをして、それがそのまま春の匂いを撒いたのでした。



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# by moraisan | 2012-03-26 22:44 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(10)
のんの(観音)さんとノンノ(花)と‥


     3.11‥ 昨年の春はテレビの前から動けない日々が続いた。 彼の地にも花は咲いただろうか‥


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# by moraisan | 2012-03-11 22:47 | いのち | Trackback | Comments(2)
別れの春‥
  葦のすっかり倒れた河原に春は突然やって来る。

  このおそらくは雑種のネコヤナギは、出逢った時から見上げる高さに芽吹いたのだったけれど‥

  この春はその優しい和毛 (にこげ) に初めてふれた。  この春が この木との別れの春となるだろう。

  こんなに浅い根で立っていたとはな‥                       また少し 淋しくなるな 散歩道。



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# by moraisan | 2012-03-06 21:27 | 山野草・樹木 | Trackback | Comments(6)
ミソサザイの谷を訪ねて‥
  
  雪面に落ちたダイヤモンドダストがきらきら光る朝‥ 思いたってミソサザイの谷を訪ねることにしました。

  道すがら 堰(せぎ)の水が速い流れの中でも見る間に凍っていくの眺めたり‥

  造花のような白を纏ったのはセンダン草を 初めて見る草のようだと思いながら歩きました。

  今朝の気温は氷点下15度、スズメたちも足の凍らぬ止まり木を選びます。 これはオオブタクサの立ち枯れ‥

  そしてこちらはツルウメモドキ。 谷の入り口までの1.5キロほどの道程の大半は県道なのにすれ違う人もない。

  この谷を訪ねる理由は季節によっても様々にあります。 

  このヤマアジサイに逢いに来るのもそんな理由のひとつだけれど、なんだか夏の日より目立っているようです。

  快活なこの鳥が多いのも‥ 彼の濁声と羽音を聞くだけで顔がほころんでしまうのを隠せません。

  いつものあたりにミソサザイの姿はありませんでした。 カラコギが期待にたがわぬ冬の花を咲かせているのに‥



そして王様に拝謁‥
# by moraisan | 2012-02-06 07:50 | いのち | Trackback | Comments(6)
雪が呼ぶもの‥
  一昨日から雪が小止みながら降り続いている。

  この時期には珍しい湿った雪が里山の木々を白く覆って 灰色にけぶった朝でした。

  こんな日なら必ず来ると、そんな予感に足を速めた。

  不思議なくらいその実を残したままの柿の木が、今朝は少し賑やかだ。

  正体はムクドリ。 昨日戻ったのを確認した十二羽の小さな群れだ。
 
  この里山の住人のヒヨドリも、負けじと甲高い声をあげていた。

  珍客が一羽、この時期にはふつうは見ない旅鳥のマミチャジナイ。 それと見間違えたツグミの姿はまだない。

  ようやく彼らの食事の痕をあちこちに見る。 この木の二千の実が二週間で消えることもあるのだけれど‥  

  彼らの上にも人の上にも 雪は等しく降る。 少しだけれど輩の増えたことが やはりうれしい。

  ケヤキの古巣を気にして来たか‥ この巣の主のハシブトは、二月になれば巣を繕い始めるのが習いだ。

  雪に草の実を隠されたホオジロたちが戸惑いがちに。 そのつぶやきが心なしか舌打ちに聞こえた。


                      
 

今朝も雪‥
# by moraisan | 2012-01-23 23:35 | 自然 | Trackback | Comments(4)
午後、光、さんぽ‥
  白っぽい午後の光の中をゆっくり歩いた。 寂しい景色の中を歩く日が続く。

  それでも私を呼びとめるものはあるだろう。                     ‥ただそれを撮り続けよう。


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# by moraisan | 2012-01-11 00:03 | 私と写真 | Trackback | Comments(6)
消えないない実 そして消えた鳥たち‥


  寒の入りしてなを、山の柿の実が消えずにたわわに残っている。 
  
  この柿の木を見続けて22年‥初めてのことである。

  それの意味することの正確なことを 私はわからない。

  ただ、毎年この柿の実を頼みに集まって来る鳥たち姿が この冬殆どない。

  その替わりにしばしばやって来るのは、今まで空に見たことのない哨戒機‥

  二機編隊で低く何度も旋回するのは、おそらく放射能の測定ではなかろうか。

  いつになく寒さが身に凍みた。 それは消えないものと消えたものから来る 寒さなのかもしれない。

  
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# by moraisan | 2012-01-09 20:36 | いのち | Trackback | Comments(8)


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